飯魚（いお）
代表　大島　正子さん

私たちの健康をサポートしてくれる乳酸菌が豊富に含まれている発酵食品。ぬか漬け、納豆、キムチ、ヨーグルトと色々ありますが、滋賀を代表する発酵食品といえば「ふなずし」ではないでしょうか？
滋賀では古くから結婚式やお正月など“ハレの日”の料理として食されてきました。ただ、強い発酵臭がするため、食べず嫌いな人も多いのが残念なところ。滋賀の食文化を次の世代へ継承するため、希少種となったニゴロブナの養殖にも取り組む、ふなずし専門店「飯魚」の大島さんに、ふなずしの美容や健康への効果や、初心者でも試しやすいアレンジレシピを聞いてきました。

長寿県・滋賀を支えるスーパーフード「ふなずし」

発酵をつかさどる乳酸菌には、腸の中の有害な菌を抑制する働きがあり、腸内環境を整え免疫力を高めてくれます。肌の調子は腸内環境に左右されやすいので、腸内を正常に整えることは美肌にもつながります。

また、ふなずしは魚を丸ごと発酵させているので、骨まで柔らかく食べられ、カルシウムやタンパク質、ビタミンB群などの栄養素も豊富です。実際にうちのふなずしを専門機関で調べてもらったところ、ふなずし10g中に2億8千万個の生きた乳酸菌が存在することが確認されました。

お店に買い物に来られるお客様が「風邪をひいたとき、お腹の調子が悪いとき、母乳がでないとき、ふなずしを食べれば治る」なんて言われるんですけど、それはふなずしに含まれる乳酸菌を身をもって体験されてきた言葉なんだろうなと思います。あと、ふなずしの樽に入れる方の手だけ肌がつるつるで(笑)。
まさにふなずしは、平均寿命全国一にも輝いたことがある滋賀県が誇るスーパーフードです。

「ふなずし」の味は千差万別

ふなずしの作り方を簡単に説明すると、春にふなの内臓を取り除いて塩漬けにし、夏に炊いたご飯をつめて、樽の中で自然発酵させます。

材料は「ふな」と「塩」と「米」の３つだけ。
けれどこれが実に奥深いんです。決まった材料で作るので、素材の良し悪しや作り手によって大きく味が変わります。100人が漬ければ100通りの味があるほどで、家庭料理と同じように各家庭の味があるんです。

うちでは、昔ながらの水張り方法で樽に漬け込んでいます。発酵期間中は毎日のように桶水を入れ替えるので、においもそれほどしません。酸味は少し強めですが、とてもクリーミーでチーズのようなコクがあります。一度ふなずしを食べた経験だけで苦手だと思っている方は、ぜひ違う人が作ったふなずしも食べてみてください。意外と口に合うふなずしが見つかるかもしれません。

「ふなずし」アレンジレシピ

ふなずしはそのまま切って食べることが多いですが、アレンジ次第で新たな美味しさも発見できます。ここで簡単アレンジをご紹介します。

まずは「ふなずしパスタ」。
オリーブオイルとニンニク、鷹の爪と一緒にふなずしを炒め、パスタと合えるだけ。ふなずしがアンチョビのように味にアクセントをつけてくれます。

ふなずしパスタ

ふなずしの切り身に青じそを巻いて揚げる「ふなずし天ぷら」も美味しいです。チーズのような味わいでお酒のつまみにもぴったり。

ふなと一緒に漬け発酵したご飯を「飯（いい）」と呼びますが、飯(いい)にも生きた乳酸菌がたっぷり含まれているので余すことなく食べてください。うちでは飯(いい)だけを「発酵飯」として販売していますが、これをお菓子づくりに使うという方もいらっしゃいます。

私のおすすめは鍋料理。飯(いい)を溶かした出し汁に豚肉をしゃぶしゃぶすれば、体が芯から温まり栄養もたっぷりとれます。
夏は、ご飯の上に薬味と一緒にのせて、冷茶をかける「冷やし茶漬け」がおすすめ。食欲がなくてもさらりと食べられ、簡単に栄養もとれるので夏バテ防止になります。

ふなずし初心者向けに お手頃「健康しが」セット

先入観でふなずしは苦手と決めつけてる人も多いと思いのではないでしょうか？

また、安い商品ではないので気軽に手を出しづらいかもしれません。そこでふなずし入門編として楽しめる「健康しが」セットを開発しました。

少しのふなずしと、飯(いい)を使ったドレッシング、飯(いい)と味噌に漬け込んだカマンベールチーズの3点セットです。チーズやドレッシングで、まずはちょこっと体験してみるのもいいかもしれません。

県内のスーパーや道の駅、オンラインショップで販売しています。
滋賀の郷土食であり、スーパーフード「ふなずし」を日頃の食生活にも取り入れて、健康に過ごしましょう！