石馬寺お寺Yoga Salon《आशा》（アーシャー）
講師　西　有希子さん

健康づくりのためにヨガレッスンに通う人も多いですが、「寺ヨガ」をご存知でしょうか？「寺ヨガ」とはその名の通り、お寺で行われるヨガです。お寺は日本人にとってスタジオで行うヨガとは違って、畳のある和室や昔ながらの落ち着いた雰囲気の中で、心や体を健やかに整えられるのが魅力です。

今回は、聖徳太子ゆかりのお寺、石馬寺で開催されている「寺ヨガ」を体験し、講師の西さんにお話を伺いました。

”寺ヨガ”の魅力とは？

ヨーガは、体を動かすアーサナ（ポーズ）のイメージを持っている方が多いと思いますが、本来は心をおさめること、心の安定を目指すものです。

ヨーガの経典の一つとされる『ヨーガ・スートラ』では、八支則と呼ばれる８つのステップが示されており、アーサナはその3番目で、長く安定して座り、瞑想するための座法、土台づくりという位置づけになります。

お寺で修行として行われる「禅」は、八支則の７番目の段階の「ディヤーナ」（静慮）の音写である禅那（ぜんな）から来た言葉であり、自分の心と向き合う座禅とヨーガは非常に関わりが深いものと言えます。

また、お寺というのは、昔から人々が集い、暮らしに根付いた場所なので、お寺に来るだけで心が安らぐといった声もあります。日常の雑音から切り離された空間であるため自然と集中もしやすく、そういう意味でもヨーガを行うのに最適な場所だと思っています。

現代は人間関係や忙しさなどから自分を見失い、心が疲れている方が多いと思います。寺ヨガでじっくり自分と向き合い、つながる時間を持っていただけたら、心が癒され、満たされた感覚を味わえるのではないでしょうか。

石馬寺お寺Yoga Salon《आशा》(アーシャー)の特徴

石馬寺は、聖徳太子の馬が石になったという縁起が伝わる禅宗寺院で、パワースポットとして知られています。駐車場から約３００段の石段を登った山の中腹にあるので、豊かな自然に囲まれ、鳥や虫の声など自然の音がBGMとなって心を落ち着けてくれます。

石庭に面した開放的な座敷でヨーガを行っているのですが、この石庭は随筆家の白洲正子さんも称賛した美しい庭ですので、ぜひその空間も楽しんでください

レッスンの最初と最後に、ヨーガで宇宙の始まりの音と言われる聖音「OM（オーム）」のマントラを唱えることで、自分自身の内側に意識を向け、体や心、呼吸とつながり、感じる時間を大事にしています。「OM」は、キリスト教の「アーメン」や仏教の「阿吽（あうん）」などに通じる音だとされています。神秘的に感じられるかもしれませんが、ご自身を楽器に見立て、自分の中心軸にエネルギーを通すつもりで行うと、心がスッキリとし、整ってくるのが感じられると思います。

ゆったりとした呼吸を意識しながら気持ち良く体を動かし、無理なくプラーナーヤーマ（呼吸法）や瞑想につなげるプログラムなので、初心者から経験者まで、年齢や性別を問わず参加していただけます。単純な体の動かし方の指示だけではなく、体の隅々まで繊細に意識を向けられるような声かけを心掛けていますので、“今、ここ”にある自分と自然につながりやすくなっています。

また、アジャストといって、口頭のほか、同意が得られれば積極的に生徒さんの体に触れて姿勢を整えています。

“皆さんが、心も体も健やかで、幸せに、心豊かに過ごせますように”

レッスンの最後にそんな言葉を添えて、そのお手伝いができたらと願い、活動しています。

レッスンを終えたみなさんに感想を聞いてみました

Aさん、Bさん（70代）

石馬寺でヨガスクールが始まった約1年前から継続して参加しています。それまではヨガをやるなんて考えたこともなかったのですが、場所が馴染みあるお寺だったのでやってみたいなと思って。体験に参加したら、見事にハマってしまいました。体をゆっくり動かすので、動きにもついていけるし、続けることで老化にブレーキがかかった気がします。普段の生活でも姿勢を気をつけるようになりました。お寺までの石段もよい運動になっています。

Cさん（50代）

動きは激しくないですが、体の先まで意識しながらしっかり動かすので、終わると汗だくで。普段使えてない筋肉がこんなところにもあったんだと気づきますよね。仕事があるので月1回のペースでしか参加できませんが、とてもよいリフレッシュになっています。

Dさん（30代）

参加するまではヨガというとストレッチや難しいポーズをとるのかなというイメージを持っていました。でも、寺ヨガでは心も体も自分の内面と向き合い、呼吸を意識しながらポーズをとると、じんわりと汗をかくことができてすっきりしました。

最後クールダウンのポーズでは気持ち良すぎて、ついウトウトしてしまいました。