vol.48
しが健康豆知識TRIVIA
健康に関する情報や、様々な健康に関する豆知識を分かりやすくご紹介いたします。
vol32
子どもはもちろん保護者も監督もコーチも全力で楽しむ陸上クラブ
2023/08/22
あけとみ陸上クラブ
代表・監督:金子 敏雄さん
活動日:毎週土曜日 9:00~11:15(季節により開始時間変更あり)
活動場所:美崎グラウンド(守山市)他
対象:小学校1~6年生
今回は、守山市で活動をされている「あけとみ陸上クラブ」の金子監督にお話を伺いました。
「あけとみ陸上クラブ」は令和4年度健康寿命延伸プロジェクト表彰事業で地域部門最優秀賞を受賞されています。
地域への恩返しを…
我が子たちは、小学生の頃から地域の方々にスポーツ指導を受け、楽しませていただきました。そして、全国中学校駅伝、都道府県対抗男子駅伝・女子駅伝、大学駅伝出場時には声援いただき、特に箱根駅伝に出場した際には地域の方が、大きな応援垂れ幕や看板をグラウンドに掲げてくださり、多大な応援をしていただきました。そんな経緯もあって、親として地域の方々への恩返しをと思い、できる範囲で幾つかの地域貢献活動をしてきました。
中学校・高等学校の保健体育教員や陸上競技部顧問、野球をしていたキャリアを活かし、町内のソフトボールや少年野球クラブのお手伝い、町内のソフトボールチーム選手としても活動させてもらいました。町内大運動会では、実況放送をしたり、地域対抗リレーで重要となるバトンの受け渡し方を指導し、毎年優勝したことで「足の速い子が多い美崎地域」というイメージが強くなったようです。
以前からこの地域に陸上クラブを作ってほしいとの要望があり、恩返しの一つとして2017年11月「あけとみ陸上クラブ」立ち上げに尽力しました。
また、小中学生の体力テスト結果で滋賀県がなぜ低いのか、私なりの考えを説明し、地域住民の健康づくりに理解のある当時の自治会長や工務店社長にご理解、ご協力いただき、地域の誰もが利用できる跳躍ピットを手作りでグラウンドの端に作成しました。
新しいことをするには様々な障壁もありましたが、良い理解者との出会いがクラブ立ち上げの大きな要因になっています。
地域の子ども15名程度でスタートしたクラブも、今ではたくさんの子どもたちが入部してくれ、例年50~60名を超える賑やかなチームとなりました。
参加している子どもたちは、運動能力が高い子ばかりではありません。ゲームばかりして外遊び経験の少ない子や運動が不得意な子、いろいろな子がいます。必ず一度体験会に参加してもらい、保護者の方には、絶対無理に入部させないよう説明しています。子どもが楽しい、やってみたいと思ったら、障がいの有る無しに関わらず、誰でも入部OKです。また、運動能力が一番伸びるゴールデンエイジ期を考え、小学校1年生から入部できるようにしました。
クラブスローガンは「絶好調」です。当初は子どもたちが恥ずかしがるかなという心配もありましたが、自分の競技人生を振り返ると、少々不安があっても調子が良いぞと思うことで好成績が残せたので、クラブシャツの背中には、この3文字をデザインすることにしました。
楽しいが一番!
陸上クラブという名称ですが、陸上競技に特化した練習は半分、もう半分は運動の基本である「走る、跳ぶ、投げる」をベースに小学生の時期に必要な多種多様な運動、他競技体験をしています。遊具や手作りの練習道具を使い、あの手この手で練習メニューを考えています。
子どもはすぐに飽きるし、集中力も続きませんので、いかに楽しく練習出来るかを常に考え、私自身も休日には野球やソフトボール、卓球、エアロビクス運動、陸上競技大会などに参加し、いろいろな競技を楽しみながら指導内容のヒントを見つけたり、昔の外遊びを現代風にアレンジしたりして、常に勉強させてもらっています。しかし、ただ楽しいだけでは陸上競技大会では通用しませんので、陸上競技に繋がるメニューづくりは重要です。
練習の中で子どもたち自身が考え、じゃんけんをしたり、順番やルールを決めたり…学校も学年も違う子どもたちのつながりや自主性、社会性が自然と身につくような工夫もしています。
また、運動中に音楽を聴くとパフォーマンスの向上、疲労の軽減、集中力の向上などが言われているので、リズム・タイミングなどに有効な曲を探し、流しながら活動しています。クラブサポート曲を2曲持っている珍しいクラブです。(2曲ともちゃんとした意味がありますよ!)
大会参加は、子どもたちの自主性と保護者の判断に任せています。自分で選んでたくさん大会に出場する子もいれば、練習だけで大会には出ない子もいますが、小学生期はそれで良いと思います。
もっと陸上競技の専門的な練習時間を増やした方がさらに強くなるという声もありましたが、毎回各大会でたくさんの子どもたちが、優勝・入賞していますので、この指導方針で良いと思っています。子どもたちを運動・スポーツ嫌いにさせないためにも、指導者は常に勉強することですね。
監督であり、生涯現役選手も目指す!子どもの目標となれるように…
スタート時は6名のスタッフで指導していましたが、数か月で仕事との兼ね合いがつかず、4名が指導から離れていき、存続は無理かなという時期もありました。現在指導者は7名に増え、そのうち4名は陸上競技経験者で、中学時代から実業団まで優勝、入賞等、全国レベルで活躍した素晴らしい実績を持つ指導者です。
私を含め皆さん仕事を持っていますので、指導に参加できない日もあります。ボランティア活動の難しいところですね。しかし、一生懸命取り組む子どもたちを見捨てるわけにはいかず、工夫して実施しています。
年々部員が増えるにつれ、忙しく立ち振る舞う私たちを気遣って、保護者の方が「お手伝いしますので遠慮せず指示してください」と声を上げてくれ、保護者コーチも誕生しました。保護者コーチには、子どもたちと一緒に動き、一緒に楽しんでもらっています。しっかり子どもを育て見守ってきた方ばかりですので安心して任せられます。
また、子どもたちに「大人も頑張ってる、凄いなぁ。」と目標にしてもらえるよう、可能な限り指導者・保護者にも大会に参加してもらっています。発想力・活動力・元気力等、若い後継者づくりも私の大切な仕事だと思っています。
私自身も昨年、大阪で開催された近畿マスターズ陸上競技選手権大会の300Mハードル65歳~69歳の部に出場し、県新記録が出せました。今年7月、京都で開催された同大会で大会新記録を出し、2連覇することができました。70歳目前の人間ですが、陸上競技や他競技を楽しみ、子どもたちと一緒に活動することで成長できますね。
親子で楽しみ、分かち合う!
うちのクラブには、保護者の役員や当番はありません。連絡や案内をする保護者グループラインがあり、クラブ行事で人手が足りないときに発信すると、手伝ってもいいよという保護者がたくさん集まってくれます。また、保護者の方から「あの練習が楽しかったので指導方法を学びたい。」と要望があり、保護者対象の「トレーニング講習会」なども実施しました。大人も子どもも楽しくないと続きませんからね。
コロナ禍で大会中止・活動自粛の時期は、子どもたちも意気消沈していましたので、パソコン操作が詳しいコーチに教えてもらい、Zoomにて自宅で出来るトレーニングを発信し、親子で取り組んでもらったり、クラブ独自でリレー大会、縄跳びチャンピオン大会、ステッピーチャンピオン大会、親子レクリエーション大会などを企画し、子どもたちの活動が停滞しない工夫もしました。
また、指導者と保護者で編成したチームで駅伝大会、50Mダッシュ王選手権大会等に参加し、子どもたちと一緒に保護者にも楽しんでもらっています。
子どもに人気のメニューの1つに、「ハンディ付き大人チーム対子どもチームリレー」があります。大人チームには時差スタートだけでなく、障害物を跳ぶ、ハードルをくぐる等、学年やメンバーによりハンディをいろいろ替え実施しています。大人チームは容赦なく全力で走りますが、時々子どもチームに負けていますね。
保護者も一緒に参加することで、子どもと一緒に楽しむだけでなく、子どもの頑張りを理解し、子どもと気持ちが分かち合えていると思います。
子どもたちの将来の活躍につながる陸上クラブに
スポーツ競技では必ず勝ち負けがつきます。全員が勝者になれるわけではありません。在籍時に表彰台に一度も上がれない選手も当然います。でもスポーツ競技はたくさんありますので、「走・跳・投」のスポーツの基本をクラブで学び、卒部後もいろんな競技で活躍できる子になってほしいと願っています。卒部生の多くは、中学校の陸上競技部に入りますが、バドミントン、野球、サッカー、テニス等、他競技で活躍している子もいます。卒部生が良い指導者に出会い、活躍したり、頑張りを聞くと嬉しいですね。
過去に、テレビ局の依頼で楽しく出来る運動実践法を紹介した経験を活かし、今後は、ジュニアだけでなく、中高老年期の方を対象に楽しい運動実践法を紹介・指導したいと考え、現在準備中です。滋賀県は男女とも平均寿命がトップクラスになりましたが、まだ運動実践者は少ないと思っています。いつまでも楽しく運動が出来るよう、今後も微力ながら貢献していきたいと考えています。
保護者へのインタビュー
(3年生の保護者コーチ)見ているだけだと、結果を求めて子どもにイライラすることもありましたが、コーチとして参加するようになって、子どもと一緒に喜んだり、子どもの気持ちに深く寄り添えるようになりました。私自身は、陸上経験はなかったのですが、子どもにかっこ悪いところも見せられないと思い頑張っています。なんと、保護者とコーチで駅伝に出て、準優勝までしたんですよ。
(卒部生の保護者)現在中学3年生の娘は、5年生のときに走高跳びで大会新記録を出し、優勝しました。あけとみ陸上クラブは、まんべんなく、色々な種目をさせてくださるところが良かったです。中学校ではテニス部に入りました。親としては陸上への期待も正直ありましたが、あけとみ陸上クラブを巣立った子は、陸上を続ける子ばかりではなく、野球やサッカー等、いろんなスポーツに取り組んでいますが、そこで活躍している子もすごく多いんですよ。
(卒部生の保護者) 娘は今年、全日本中学生選手権女子クォドルプルボート(4人乗り)で4位、女子総合優勝しました。金子監督に出会って陸上の楽しさを教えてもらい、それが現在取り組んでいるボートにも役立って良かったと言っています。あけとみ陸上クラブで活動させてもらい、良いアドバイスをしていただき、良い出会いに感謝しています。
(卒部生の保護者) あけとみ陸上クラブでいろいろアドバイスしてもらい、1000Mで優勝したり、負けて悔し涙を流したりしましたが、監督からのアドバイスが、現在取り組んでいる水泳にも大変役立っています。県大会1位になり、全国大会出場を目指し、練習を楽しんでやってくれています。楽しむことが大切とおっしゃられていたこと本当ですね。
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