JR能登川駅前のホテルを会場に、毎週木曜日に開催される「ぱーる運動クラブ」は、能登川エリアで社会福祉事業を行う「社会福祉法人真寿会」が始めた地域貢献事業のひとつです。介護認定を受けておられない人や、免許返納などで移動手段のない人にも、駅前に来てもらって、運動や買い物に出かけてもらうことを狙いとした、送迎サービス付きの運動クラブ。運動の合間に買い物に出かけたり、新しい友人ができたり、運動だけじゃない魅力があります。

運動クラブの発案から開設、運営にまで携わってきた、真寿会リハビリセンターあゆみの副施設長・深津良太さんにお話を伺いました。

気軽に集い、社会参加できる場を提供したい

作業療法士として通所される方々を見守ってきて、介護認定を受けて施設を利用してもらう前段階で、我々になにかできることがあるんじゃないかという思いがありました。デイケアとか、訪問リハビリで「どんどん社会参加をしていきましょう」といった話をするのですが、「介護保険サービスから卒業すると出かける場所がなくなった」とか、「移動手段がないから出かけたくても出られない」なんて話を聞いたりするんです。だからまずは、地域のお年寄りが気軽に集まれる場所が必要なんじゃないかと。それで、真寿会の30周年を機に、SDGs～Link ALIVE～プロジェクトの一環として、送迎サービス付きで運動や買い物ができる「ぱーる運動くらぶ」を開設することにしました。

大きな目的は家に引きこもらず、外出してもらうことなので、送迎サービスは絶対条件でしたね。会場を真寿会の施設にすれば手っ取り早いのですが、駅前のほうが買い物目的でも利用してもらえるし、参加者さんにとって便利なんじゃないかと思い「ホテルアズイン東近江」さんに協力していただくことにしました。
また、スポーツメーカーのミズノさんにも協力いただき、シニアアクティブリーダー講習を受けた理学療法士・作業療法士・柔道整復師などの専門トレーナーが、健康増進を目的としたオリジナルのトレーニングメニューを考えています。

当初は広報にまで力が入れられず、午前の部だけの開催で5人程度しか参加者もいませんでしたが、いまでは午前に1回、午後に2回の3部制で、20人以上が参加してくれています。

各回の参加者の傾向も固まってきていて、午前は比較的若くてアクティブな60～70代、13時は要支援で主にリハビリを目的とする人、14時は健康増進を目的とした70～80代と分かれてきたので、それぞれのニーズに合わせたトレーニングメニューで対応しています。
午前のトレーニングは私たちも次の日に筋肉痛になるほど本格的ですし、13時の部は座ってできるメニューがほとんどです。

参加者のみなさんにお話を伺いました！

60代女性　Aさん
「家にひとりでいてもなかなか運動する気分になれのですが、ここに来ればみんな一緒だから楽しく運動ができます。猫背が悩みでしたが、姿勢がよくなったと言われることも増えてきたのが嬉しくて、これからも続けたいと思ってます」。

80代女性　Bさん
「市役所の地域包括支援センターで紹介され、通うようになりました。もともと足が悪かったんですが、ここで習ったトレーニングを家でもやるようにしていたら、杖なしでも歩けるようになったんです。スタッフのみなさんも親切だし、新しい友人もできたので、毎回通うのが楽しみです」。

持続可能な取り組みにするために

みなさんに喜んでいただけて、やりがいや手応えはひしひしと感じています。ただ、地域貢献をもとに始めた事業なので、収益化まで考えられてないのが実情です。そこをどうクリアするかが当面の課題です。
でも、この取り組みを知って、真寿会の介護やリハビリスタッフに興味を持ってくれる学生がいるなど、求人面に副次的な効果もあったりするので、新しい福祉サービスのひとつとして提供できるよう、行政とも連携をとりながら持続できる方法を模索していきたいと思っています。