しが健康豆知識TRIVIA

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vol49

開業保健師倍増計画で目指す、明るい未来

2024/12/12

ナーシングクリエイト株式会社の代表・押栗泰代さんは、滋賀県内に3人しかいない開業保健師のひとり。約20年前に独立し、開業保健師として地域の人に寄り添ってきました。行政や企業で働く保健師が多い中、押栗さんが開業保健師の道を選んだのはなぜだったのでしょうか?

また昨年度、押栗さんは「健康しが」活動創出支援事業費補助金の助成団体として、保健師が起業するための起業塾をスタートさせました。目標は「開業保健師5年で倍増」。その先にはどんな未来があるのでしょうか?
押栗さんにお話を伺いました。

 

 

行政の支援では行き届かないところに寄り添いたい

保健師の仕事ってご存知ですか?主に、自治体の保健所や大手企業に勤務していて、保健、医療、福祉、介護など、ゆりかごから看取りまでの世代を対象に、地域で公衆衛生や看護を展開する仕事です。
私は、自分も出産を経験して育児をするなかで、行政の支援では行き届かない、育児不安を抱えるお母さんに寄り添ったサービスが必要だと感じるようになりました。それで、最初は産後の母子に特化して支援を行う団体「マイママ・セラピー」を立ち上げたんです。一律な支援ではなく、ひとりひとりの不安や悩みに寄り添うための場でした。
ただ、10年ほど続けていくうちに、母親たちが抱える不安は大きく分けて二種類に分けられることがわかりました。ひとつめは「未経験なことに対する不安」。もうひとつが「未来の見通しがたたない不安」。マイママ・セラピーの活動で「未経験なことに対する不安」は取り除けても、「未来の見通しがたたない不安」は解消しきれないのではないか…。そう考え、別の形の支援も模索し始めました。

女性のキャリア支援

未来への不安を解消するためには、自分に自信を持ってもらう必要があると思うんです。ちょうどそのタイミングで、地域の企業さんから出産後の社員のケアなどの相談をうけるようになったので、マイママ・セラピーをNPO法人化し、それとは別でナーシングクリエイト株式会社を立ち上げました。会社組織としたことで、企業への保健師派遣業務も請けられます。結果、企業で働く人の健康管理だけでなく、育児をしながら働く女性のキャリア支援も行うことができました。また、復職を目指すママたちへ、復帰するための心構えを伝えるなど、企業とママ、両方からアプローチし、女性がキャリアを積んでいける社会づくりにも力をいれています。

保健師のための起業塾

そして新たに2022年からは、私のように自由に動ける開業保健師を増やすため、開業保健師を目指す人のための起業塾を始めました。いま、滋賀県内には開業保健師が3人しかいません。これは全国的にみてもとても少ないといえます。県内の保健師の人数がそれほど多くないこともありますが、開業をしてもやっていけないんじゃないかという不安も大きいからだと思います。それは、行政の保健師による指導が無料で行われるため、保健師のサービスは無料が当たり前と思われている社会的傾向が関係してると思います。

でも、法律や制度に則った行政支援だけでは、取りこぼしてしまう保健課題は増えているし、フレキシブルに動ける開業保健師だからこそできるサービスがあり、今後はよりその必要性が増します。だから私は開業保健師を増やしたい。
起業塾では、きちんとマネタイズでき、事業を継続していくためのノウハウなどを伝えています。

未来のためにできること

先日、マイママ・セラピーの活動は厚生労働省が後援する「厚生労働大臣賞」を受賞させていただきました。こちらはずっと続けてきた母親支援の活動を認めていただいたものです。
振り返ると、この20年間はずっと走り続けてきた気がしますが、いつまでも第一線を走り続けることはできません。これからは、私が培ってきたビジョンやミッションを、次の世代の人にバトンを渡して、繋いでいってほしいと思っています。
滋賀で開業する保健師が増えることは、地域に新しい健康サービスを創出することにも繋がります。いまはまだ3人しかいない開業保健師がこの先、倍増、さらにもっと増えてくれることを願っています。

 

 

ナーシングクリエイト株式会社

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